京橋・宝町法律事務所

新型コロナウイルス感染症の拡大とマンション管理(理事会運営について)

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、いわゆる「三密」を避けるべく、理事会の開催を見合わせているマンション管理組合が多数あります(私が関与している管理組合においても、令和2年4月・5月に開催予定であった理事会の多くが延期になっております。)。

その一方で、管理組合は例年6月頃に総会を開催することが多く、総会の開催を延期しない場合、総会に提出する議案を理事会で決議し、その後、総会議案書や議決権行使書面等を各区分所有者に発送する必要があるため、5月中には理事会を開催しなければならないという状況にある管理組合も多いものと思われます。

そこで、「三密」を避けつつも理事会を開催する方法として、ZoomやMicrosoft Teams などのWeb会議システムを利用して理事会を開催するという方法が話題になっています。

Web会議システムを利用した理事会開催の可否について、多くの管理組合が準拠する「マンション標準管理規約」の該当部分には、以下のとおり国土交通省による「コメント」が記載されております。

理事会に出席できない理事について、インターネット技術によるテレビ会議等での理事会参加や議決権行使を認める旨を、規約において定めることも考えられる。

この「コメント」の書きぶりは非常に微妙ですが、Web会議システムを利用した理事会を開催するには、管理規約を改正して対応するのが通常であると読むのが自然であろうと思われます。

仮にそうだとすると、そもそも、管理規約改正は総会の決議により行うものである以上、総会が開催できない現状では、Web会議システムを利用した理事会を実施することはできないことになってしまいます。

もっとも、上述の国土交通省の「コメント」は、この度の新型コロナウイルス感染症の拡大前に作成されたものであり、現状のように感染が拡大し管理組合運営が機能不全になっている場合にまで、あくまでも規約改正が必要という杓子定規な解釈がされるべきものとも思われません。

ちなみに、公益法人の運営においては、新型コロナウイルス感染症の拡大と公益法人の運営(総会・理事会等)にも記載されているとおり、定款に規定されていなくとも、出席者が一堂に会するのと同等に相互に十分議論ができる環境であれば、Web会議、テレビ会議、電話会議などにより理事会等を開催することも可能であるとされており、これは株式会社における取締役会においても同様です。

とすれば、マンション管理組合においても、公益法人等の場合と同様に、このような環境を整えたうえで、Web会議システムを利用した理事会を開催するという方法を採ることも考えられます。

ただ、このようにWeb会議システムを利用した理事会を管理規約の改正を経ずに開催することは、例えば、管理組合内で激しい意見対立が生じている議案が存在するなどの場合、後に理事会決議の有効性を巡る紛争に発展しかねませんので、可能であれば避けた方がよいと思われます。

また、例えば大規模修繕工事の実施に関する議案などのように、どうしても今期の理事会で決議する必要があり、これをWeb会議システムを利用した理事会で決議した場合には、事態が落ち着き、通常どおりの理事会が開催された際に、改めて、Web会議システムを利用した理事会において決議をした議案について追認する旨の決議をとっておく方が後のトラブルを防止するうえでは有効です。

いずれにせよ、今後もこの度の新型コロナウイルス問題と同様に対面での理事会運営が困難なケースが生じるおそれがありますので、次期以降に、Web会議システムを利用した理事会の開催について、管理規約に定めをするとの規約改正をすることも検討する必要があるでしょう。

(文責・安江 克典