京橋・宝町法律事務所

間違いやすいポイント!-社員総会の準備

平成28年度がスタートし,平成27年度決算等の準備を始められる公益(一般)法人様も多いことかと思います。これから6月にかけて,決算書・事業報告書等の作成,監査,理事会そして総会(財団は評議員会)といった行事が続き,事務局は忙しい時期を迎えます。

本コラムでは,特に公益(一般)社団法人での定時総会(法律上は「定時社員総会」といいます)の招集に当たって,間違いやすい点,誤解が多い点をまとめてみましたので参考にしていただければ幸いです。

総会から逆算してスケジュールを組む

例えば,総会の日を平成28年6月21日(火)にセットし,会場を確保したとします。この場合,総会において書面投票(法律上の「書面による議決権行使」)またはWEB投票(法律上の「電磁的方法による議決権行使」)を認めている法人では,会員に対して,総会の招集通知(その他関係資料)を6月6日(月)までに発送しなければなりません(なお,定款でもっと早い発送期限を設けている法人ではその期限に従います)。法律上は「2週間前までに」(法人法39条1項但書)と表現されていますが,その意味は,招集通知を発する日と総会の日との間に「2週間空けよ」つまり「中14日」とれという意味と解されています。総会の2週間前の日である6月7日(火)に発送するとアウトですので注意してください(なお,書面投票の期限を例えば「6月20日の17時に事務局に投票用紙が到着した分まで」と理事会決議により設けた場合は,さらにその2週間前,つまり,6月5日(日)までに発送する必要があります。)。なお,書面投票やWEB投票を採用していない法人(出席者の投票と委任状のみ)では,発送期限は法律上は1週間前までとなります(法人法39条1項本文。もっとも定款でそれより早い発送期限を設けていればそれに従います。)。

以下,2週間前までに招集通知を発送する法人を念頭に置きますが,6月6日(月)が発送期限ですから,その前に,決算書・事業報告書等の承認,総会招集・議案等を決定する理事会を開催しなければなりません。5月の最終週(5月29日~)あたりが理事会開催のタイムリミットでしょう。

そして,理事会に提出する決算書・事業報告書等は,監事により監査を受け,「監査報告書」の提出を受けなければなりません。監査の方法は法人によって色々ですが(書類を監事に送付して監査を受ける,「監査会」を開催するなど),5月上旬には一式書類を監事に送付し監査を受けることになります。

としますと,4月中には決算書・事業報告書等を事務局にて完成させる必要があることになります。

時間があるように見えて,実はほとんどありません。総会に向けた厳密なスケジュール管理が重要となります。

委任状・議決権行使書面の扱い

委任状と書面投票用紙(法律上の「議決権行使書面」)の扱いも間違いやすいところです。総会の委任状や議決権行使書面の扱いは慎重を要します。招集手続等の法令・定款違反は総会の「決議取消事由」となり,後に総会決議が無効となってしまう危険があるためです。

議決権行使書面の記載事項

法令上記載事項は決まっています(一般法人法施行規則7条)。

※一般法人法施行規則7条
「法第41条第1項の規定により交付すべき議決権行使書面(同項に規定する議決権行使書面をいう。以下同じ。)に記載すべき事項・・は、次に掲げる事項とする。
一  各議案についての賛否(棄権の欄を設ける場合にあっては、棄権を含む。)を記載する欄
二  議決権の行使の期限
三  議決権を行使すべき社員の氏名又は名称・・」

これらの記載漏れが無いよう,注意する必要があります。

なお,「各議案についての賛否を記載する欄」に関連して,議題に役員改選がある場合は,基本的に役員の候補者毎に一つ一つ賛否を記載する欄を設ける必要があります。議題に役員選任がある場合は,各候補者毎に1個の議案となりますので,それぞれに賛否を記載してもらい,集計する必要があるためです。

委任状の書式

委任状の書式(記載事項)については法令上の決まりはありません。法人において適宜書式を決めていただければ良いのですが,代理人(委任を受けて当日出席する人)にすべてを委任するタイプか議案毎に賛否を記載する欄を設けてそのとおり代理人に行使してもらうタイプのものとに分かれるようです(上場企業の株主総会では後者が一般的のようですが,公益(一般)法人の場合は前者の例も多いように思います)。なお,上場企業においてはいわゆる「委任状勧誘」について金融商品取引法等による規制があるのですが,公益(一般)法人においてそのような規制はありませんので,会員へ招集通知等の資料を送る際に委任状用紙も同封することがむしろ通常です。

委任状・議決権行使書面に関するイレギュラーな場合への対応

委任状と議決権行使書面の両方が送られて来た場合どちらが優先?

委任状が優先されます。委任状を提出した会員は,代理人を立てて総会に出席していることになります。他方で,議決権行使書面を提出した会員は,総会を欠席していることに変わりなく書面によって議決権を行使しているに過ぎません(なお,議決権行使書面を提出した会員の議決権の数も出席した会員の議決権数に算入されますが(法人法51条2項),欠席には変わりありません。)。議決権行使書面は本人の意思が直接反映されているから優先では?(特に委任状が白紙委任タイプの場合と比較して)と考えがちですが,誤りですので注意が必要です。

議決権行使書面の「賛・否」いずれにも○,または「賛・否」いずれにも記載無い時は?

このような場合にどう取り扱うかを,総会の招集を決定する理事会において決議しておき,その内容を招集通知と同時に送る「総会参考書類」(法人法41条1項)か議決権行使書面の注意書き等に記載しておくと良いです。良くあるのは,「賛・否」いずれにも○をつけた場合は棄権(無効),「賛・否」いずれにも記載が無い場合は賛成とみなす,ということを理事会で決議しそれを上記の書類に記載しておくという方法です。

委任状の代理人の欄が空欄の時は?

代理人の欄が空欄の場合の取り扱いについて,定まった見解はないのですが(このような委任状は無効だと解釈する見解もあります),そのような委任状を提出した会員の意思内容を考えた場合,代理人を誰にするかは分からないが,総会に提出された議案については賛成する,というものだと考えられます。こう考え委任状を有効とすることが,なるべく会員の議決権行使の機会を保障することにも繋がるものと考えます。そこで,法人側にて適宜代理人欄を補充し,その代理人に議決権を行使をしてもらうことになります。

委任状の代理人欄を議長とすることはOK?会長(理事長)は?

総会の議長は,公平中立の立場から議事運営に当たることが期待され,法律上も(法人法54条)議事整理権をもっています。このような立場にある議長が会員の代理人として採決に加わることは問題があるといえます。ゆえに,代理人欄に議長と書いた委任状は無効であると解せざるを得ないと考えます。このような事態を避けるために委任状の注意書き等に「代理人欄に議長と書くと無効になりますのでご注意ください」といった記載をしておくのが良いでしょう。

なお,会長(理事長)を代理人とする委任状は,会長が会員であれば問題なく,有効です。

まだまだある注意点

以上の他にも,総会の運営に当たっては,今回お話しした総会の招集段階の他にも,注意すべき点や間違いやすい点が多々あるのですが,続きは次回以降のコラムにてお伝え致します。総会の運営等にて疑問点がある方はお気軽に当事務所までご相談ください。

(文責:梅本 寛人