京橋・宝町法律事務所

公益法人における懇親会・飲み会・パーティーの在り方

いきなり突拍子もないテーマかと思われるかもしれませんが、公益法人の実務関係者の頭を意外と悩ませせるのが、公益法人において、懇親会、飲み会、パーティーその他の交流的なイベントを、法人の予算で開催することはできるのかという問題です。

公益法人とは、公益目的事業を主たる事業とする法人であり(公益法人認定法4条参照)、公益目的事業とは、「学術、技芸、慈善その他の公益に関する別表各号に掲げる種類の事業であって、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するものをいう。」と定義されています(同法2条4号)。

ところが、懇親会とか飲み会とかいうものは、結局、公益法人の関係者のみが集って、文字どおり「懇親」等を深める場であり、「不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与」していないのではないか?というのが疑問のきっかけとなります。「そんな固いこと言わなくても・・」とも思いますが、このご時世、何事もコンプライアンスが幅を利かせておりますから、少しでも疑問があれば慎重に検討しなければなりません。

「会費制」ならば問題ないか?

公益法人における懇親会、飲み会等に疑義が生じるのは、開催費用を「法人の予算」で賄おうとしているからです。とすれば、懇親会、飲み会等に参加する者が開催費用(会費)を支払い、自主的に開催するのであれば、何の問題も生じないということになります。ということで、公益法人における懇親会、飲み会等においては、参加者から会費を徴収する例が一般的であり、安全であるといえるでしょう。

もっとも、会費ですべてを賄わず、法人の予算から開催費用の一部を補助する、となるとどうでしょうか?
これは、開催する会の趣旨・目的にしたがって判断すべきであり、懇親会、飲み会等が、文字どおり、単なる参加者の交流を深める、慰労するといった趣旨を出ないものであれば、法人の予算から一部を補助するのも避けるべきものと思われます。

法人の予算で開催できる懇親会等は無いのか?

それでは、法人の予算は、一切、懇親会、飲み会等に支出してはならないのかという問題ですが、この点については、新しい公益認定等ガイドライン(「公益認定等に関する運用について(公益認定等ガイドライン)」令和6年12月改訂 内閣府公益認定等委員会・内閣府大臣官房公益法人行政担当室)において、次のように言及されています(同ガイドライン第2章第1節第3(6)・41頁)。

(6) その他横断的な注記事項
① 飲食・パーティー
〇 飲食は、一般的には、その飲食を行う者が利益を得るに留まり、公益目的事業として費用を負担して飲食を提供することについては、当該公益目的事業の趣旨・目的に照らして合理性が必要となる。
〇 相応の対価を得て飲食を提供する事業については、法人税令第5条に掲げる事業に含まれると考えられるところ、事業の実態に応じて上記(2)により判断されることから、ここでは、公益法人が、相応の対価を得ることなく行う飲食の提供について注記する。
〇 公益法人が行う事業の趣旨・目的に照らして、当該飲食の提供を行うことに合理的な理由があり、相当の範囲で行う飲食の提供(公益目的事業の実施に係る費用として支出する場合を含む。) は認められる。例えば、被災地における炊き出し、表彰等に係る「晴れ」の場としてパーティーの開催、重要な事業を遂行のために理解を得ることが不可欠な要人の接待、外部の関係者を招いて開催する会議における食事、弁当等の提供、公益目的事業への協力者等への茶菓の提供等が想定される。なお、幹となる事業の効果的な実施等のために付随的に、小さな規模で行われる場合には、申請書への記載は不要である(第2章第2(2)②参照)。
〇 なお、公益目的事業費か否かに関わらず、公益法人の関係者が参加する会合等における飲食の費用を公益法人が負担することについては、法人関係者に対して特別の利益を与えるおそれ、役員に関しては、役員報酬等の支給の基準に従った報酬等の支給(認定法第20条)への違反のおそれなどがあるほか、資源提供者の意思に反することも想定される。公益目的事業として合理性がある場合や、役職員の福利厚生の一環として行う場合などに、社会通念上相当の範囲で支出することは問題ないが、相当額の支出が想定される場合には、規程を定め、法人のガバナンスの下、透明性をもって支出を行うことが望ましい。

なかなか細かいところまで言及されていますが、要するに、懇親会等が公益目的事業として合理性のあるものであれば、社会通念上相当な範囲内で、飲食の費用を支出することも許容されると解されます。
もっとも、何が合理性のあるものなのか、相当な範囲とはどこまでか等は判断に迷うこともあると思います。
安全に考えるならば、懇親会等は会費制とし、開催する懇親会等に一定の公益性が認められるのであれば、相当な範囲で(例えば、会費が占める割合が少なく、大半を法人予算から賄うというのは「相当な範囲」とは言えないでしょう。)、法人の予算から一部を補助する、ということになるでしょう。

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